日本料理は「引き算の料理」と呼ばている。その一つの理由は、日本料理が素材の持ち味を最大限に「引出す」料理という特徴を持っているからである。適切な下処理とは、地味な聞こえだが、何気なく使用している食材を劇的に変身させるような料理の根幹を担う作業とも言える。

食材の欠点を消す、又は目立たなくし、長所を更に「引出す」事は非常に重要であり、その味のみならず、色つやなども含めた料理に完成度に大きな影響を与える。今回は、精進料理を極め、野菜の達人とも言われている藤木氏から、基本的な野菜に於ける例をいくつか紹介していきたい。これをベースに、皆様には更に研究を深めてもらいたい。
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らかん亭 藤木忠福氏
胡瓜は板摺りしないで手で塩磨きしてください。えぐみ、青臭さを抜き、味つけ、色持ちを兼ねます。胡瓜は板摺りした方がいいですね。…
茹で過ぎると、甘皮が剥けます。えぐみ、青臭さを抜き、味つけ、色持ちを兼ねます。…
油を塗ることで早く焼け、香りも残ります。油で揚げて、熱湯を上から掛けて含ませてもよいです。…
椿の葉は、エグ味とりの効果があります。水2ℓで5枚くらい入れます。苦みが和らぎ、全体がまろやかになります。…
酢は灰汁止めに効果があり、小麦粉は旨みを逃さず、甘みを加える効果があります。牛蒡茶を加えることで、牛蒡独特の風味を加えます。…
氷水だと、苦みや臭みが出るので、注意します。砂糖により、青臭さも抑えられます。皮に旨みがあり、霜降りすると旨みが増します。梅干は口直しの意味があります。…
夏大根は、部位によって味が違います。同じように食べるため、前もって塩をして、辛み苦みを抜きます。冬大根は甘いので、サッと茹でて、含ませることができます。…
皮を剥くことで、火の通りを均等にします。小麦粉、椿の葉を入れることで、苦みを抑えます。。…
板摺りは灰汁が回るので、しない方がよいですね。粥の中に蕗を浸け込むイメージです。…
酢、明礬、塩を水に入れて30分くらい締め、水で洗い、茹でる。湯に小麦粉を溶いた物、砂糖を入れて茹でる。…
苦い時は、塩、砂糖を少量入れて、含ませる。出来れば銅鍋で茹でると、発色、日持ちが断然違います。…
長時間茹でると溶けてしまうので、重曹を入れ、30秒くらい一度煮立てて皮だけを柔らかくします。固い部分は茹でる前に剥いておくとよいですね。…
固い部分は前もって皮を剥いておきます。時間が無い時は直に薄塩をします。…